まず、アワビの殻を水につけます。
そしてハンドグラインダーなどで全体を荒削りします。
そのとき柔らかい部分をどんどん削り過ぎないことが大切です。
水にたびたびつけながら少しずつ削っていきましょう。
荒削りをしないで自分の好きな形をいきなりくりぬいたらそこの部分が柔らかかったり虫や微生物によって侵食されていると失敗です。
注意しましょう。
よく、黒い部分や青い部分がアワビにあると苦情の電話をいただきますが、それは自然に出来たものです。
また全体に白っぽいなどということもいわれますが、それもフジツボをクリーニングしたときに自然についたカルシウムであることが多いです。
火であぶって真っ黒ではないか?との問い合わせもありますがそのようなことは決してありません。
荒削りをしたら全体の貝の性質が把握できますのでここで指などではさんで十分な厚み(強度)があるところをお好みの形でくりぬいたり切り離します。
そして、きりとった部分を整形して出来上がりとなるでしょう。
貝の細工で一番大事なのは荒削りです。
そのときに貝との対話に失敗すると大体変なものが出来上がります。
よく聞く話に、虫が喰ってない大きなアワビもあるというひとがいますが大きな貝は厚くおおきくなるとともに虫に喰われるのが自然道理です。
無茶を言わないで下さい。
小さな貝は綺麗ですが細工に自由度もなくなってしまいます。
逆に大きな貝は厚いですが見てわからないところが虫食っていることがおおいです。
ピンクで囲った部分ですが、ここは見た目では綺麗でも削ると柔らかい部分です。
(よくみるとぽつぽつなったりしているでしょう。)
ここはあまり強く削らずに水にひたしながら慎重に削ります。
すると、この部分は七色の光が乱反射してとても綺麗な部分であることがわかります。
強く削ると、無くなりますし穴が開きます。
たまにここでスプーンを作ろうとするひとがいますが、難しいと思います。
この部分は柔らかい代わりに七色に光ってとても綺麗ですので別の部位で作ったスプーンなどの母材にはりつけてつかうと綺麗です。
(上級テクニック)
見てわかるとおり貝は波打った形ですので無理にフラットにすると薄くなります。
ご注意下さい。
エポキシ接着剤についての注意。
エポキシ接着剤も熱に弱いので貝どうしをくっつけた場合でもそれを削るときはやはり水にひたしながら少しずつ削るのが好ましいです。
熱が伝わりすぎると変質してべとべとになり失敗です。